\ 移植

 一般に庭樹は、小さな苗木になるほど移植が容易で、逆に大きくなるほど困難になってきます。これは苗木の根系が小さく、小さな根鉢で多くの根系を掘りとることができ、また根系の活力が高くて、移植後の成長が旺盛であるためです。大きな庭樹では根系が大きくなるため根系全体を掘りとることが困難で、作業上どうしても多量の根系切断を余儀なくされ、樹体生理に及ぼす影響は若い庭樹に比べ著しく大きくなります。
 落葉樹は冬から春にかけて気温が上がり始める直前に行います。移植するとすぐに新しい根が出始めるからです。しかし、常緑樹は5〜6月まで待って行います。

  根回し

 移植をするときはまず根回しを行い、細根をたくさん発生させ、植え替えたとき活着を容易にします。割合根が良く発達している若樹は、移植3〜6ヵ月前に根元回りをスコップで掘り側根を切っておきます。3〜6ヵ月たてば細根が伸びてきますので、掘り上げて移植します。庭樹が大きくなるほど細根を発生させる期間を長くします。厳寒期を除く冬の間に移植ができるように逆算して根回しを行います。移植の際には根を切った分、地上部の枝葉も落として吸水と蒸散のバランスをとるようにします。
 胸高直径が3〜4cm以上の庭樹は、移植に先立って根回しを行います。移植する1〜2年前の成長休止期に根元周囲を掘りとり、根を切断することにより、新しい細根の発生を促します。庭樹の胸高直径の4〜5倍の直径の根鉢になるように、深さは根回し直径の1/3〜1/4になるように掘りとります。この時太い根があれば切断せず、表皮を環状剥皮して埋め戻し、樹幹が揺れたり、倒伏しないように支柱をします。支柱を行わないと風などによる樹冠や幹の揺れが根に伝わり、細根が切られて切断され、樹勢回復が遅れるだけでなく枯損にもつながります。また、庭樹の幹直下に伸びている直根も切らずに、移植時までおいておきます。根回しすることによって、養・水分の吸収作用に最も関係の深い細根、小径根の大半が失われます。またこの作業によって不定根の発生が促され、新たに発生した根系が吸収作用を行い、また残された根系が吸収作用を補い、根鉢内での根系の活力が高まり、樹勢回復につながっていきます。新たに発生した根系とともに庭樹を丁寧に掘りとり、あらかじめ根鉢の2倍の大きさに掘った穴へ移植します。この時鉢内の根系が土壌と遊離すると、土壌からの水分補給がたたれ、根系が乾いて活力が低下し、枯損が起こります。このため根締めは堅くして根系と土壌が遊離しないようにします。根締めには水ぎめと土ぎめの2つの方法があります。植え穴に庭樹を据えたら、細かく砕いた土で穴の半分程度埋め戻し、突き棒で根鉢の周囲をよく突きながら、根の隅々まで土が充分に行き渡るようにします。そのうえからたっぷり水を注ぎ入れます。水が引くのを待って、再び根元まで土をいれ戻します。埋め戻した土を軽く踏みつけ、さらに充分に散水します。水が吸収され根鉢が落ちついたら支柱をとりつけ固定します。土ぎめは水を使わず、土を少しずつ入れ、突き棒でついて土を固めながら庭樹を固定していきます。マツの移植などに行います。地際まで突き固めたら支柱をとりつけ散水します。


  はじめに
T 庭樹の組織とその働き
U 庭樹の環境
V 樹勢回復
W 肥料
X 多種類の庭樹に共通して発生する病害
Y 多種類の庭樹に共通して発生する害虫
Z 農薬
[ 整枝剪定
\ 移植
] 庭樹の増殖
]T もっと詳しく知りたい方に
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